お役立ちコラム【部屋探し】

「フリーレント」にはデメリットも?事前にチェックすべきポイントとは

フリーレント付きの物件は、「通常よりもお得に部屋を借りられる物件」とイメージする人も多いのではないでしょうか。たしかに一定期間分の家賃がかからない点では、金銭的な負担が軽減します。しかし長期的な視点で家賃を考えたり、物件そのものを総合的に考えたりしたときには、必ずしもお得な物件とは限りません。

今回は、フリーレントの概要やそれが付けられる背景、メリット・デメリットを解説します。フリーレント付きの物件を選ぶ以外で初期費用を抑える方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

フリーレントとは何か

フリーレントとは、「賃貸物件の家賃が一定期間かからないこと」を指します。期間は、2週間から3ヶ月程度と物件によって様々です。月の途中からの入居の場合、日割り家賃分のみがフリーレントになることもあります。

事務所や店舗などの事業用賃貸物件では、フリーレントが付いていることも珍しくありません。居住用の賃貸物件ではそこまでメジャーではないものの、フリーレント付きの物件数はここ20年程で徐々に増えてきました。

ただしフリーレントはあくまでも貸主側の販促活動の1つです。同じ物件であっても、タイミングによってフリーレントが付いていたりいなかったり、期間が異なったりします。

なぜフリーレントがついているのか

フリーレントは、貸主である大家さんの意向で付けられるもの。大家さん自身が所有物件の空室率を下げて賃貸収入を増やしたいと考えるときに、付けられるのが一般的です。

入居者募集の強化や空室対策のため

フリーレントは、賃貸物件の入居者募集を強化し、空室期間を最小限に留めるための手段として用いられます。賃貸物件の大家さんが最も避けたいのが、空室の発生や空室期間の長期化。何も対策をせずに空室が長引くことを思えば、1ヶ月フリーレントを付けて入居者を決められる方が大家さんとしてもメリットがあります。

とくにローンを組んで不動産賃貸経営をしている大家さんにとって、空室は大きなリスク。1部屋しか所有していなければ、空室によって賃貸収入はゼロになり、月々の返済に支障が出かねません。複数の部屋を持っている大家さんであっても、毎月数万円からそれ以上の収入が減ってしまうのは、痛手です。

家賃を下げずに入居者を見つけるため

大家さんにとっては、家賃を下げるよりも一定期間のフリーレントを付ける方が収入面においてプラス。家賃を下げると、月々の賃貸収入はもちろん、大家さんの収入源である、契約時の礼金や更新時の更新料の金額も下がってしまいます。大家さんとしては、短期的な収入よりも長期的な収入を重視するのです。

家賃を下げると賃貸収入が減るだけでなく、既存の入居者から家賃の減額交渉をされかねません。さらに一度下げた家賃を上げるのは難しいという側面もあります。

また家賃の減少は物件そのものの利回りの低下に直結。とくに投資物件として売却を検討している場合は「できれば家賃を下げずに入居者を見つけたい」というのが大家さんの本音です。

フリーレントのメリットとは

入居者にとって、フリーレント付きの物件を選ぶメリットは主に2つ。金銭的な負担の軽減と時間に余裕ができることです。それぞれ詳しく見てみましょう。

初期費用や家賃の負担が軽くなる

フリーレントが付いている最大のメリットは、初期費用や家賃の負担が軽くなること。賃貸物件を契約すると、初期費用としてまとまったお金を支払わなければなりません。一般的に、初期費用は家賃の5ヶ月分前後。礼金や敷金、仲介手数料、火災保険料、鍵交換費用のほかに前家賃が含まれます。

例えば2ヶ月のフリーレントがついている物件に10月1日から入居するとします。この場合は、初期費用に含まれる10月分の家賃と10月中に支払う11月分の家賃がかかりません。初期費用や引っ越し費用、家電や家具の購入費用など何かと出費が多いときだからこそ、一定期間分の家賃がかからないのは魅力的です。

引っ越し時期を柔軟に決められる

フリーレントが付いていると、その期間中は「二重家賃」が発生しないため、引っ越し時期を柔軟に決められます。二重家賃とは、元々賃貸物件に住んでいる人が別の賃貸物件に引っ越す際に、旧居と新居で同時に家賃が発生してしまうこと。それを避けるために、旧居からの引っ越し日および退去日を新居への入居日と同日にする人が多くいます。

二重家賃が発生しなければ、旧居と新居の契約期間が多少被ったとしても、金銭的な負担は限定的(※)です。引っ越しから退去立会いまでに時間が空くのであれば、その間に旧居の掃除をしたり、原状回復義務の対象になりそうな傷や汚れを修繕したりもできます。その結果、原状回復費用が安く済む、またはかからないというメリットもあるのです。

※フリーレントは家賃のみが一定期間かからない制度であり、共益費や管理費、駐車場代や駐輪場代は入居日からかかる場合がほとんど。家賃以外の費用については、旧居と二重払いになり得ると覚えておきましょう。

フリーレントのデメリットとは

入居者にとって、よいことばかりに思えるフリーレント。しかしそのお得さに飛びついて安易に契約をするのはやめましょう。フリーレントがついている物件には以下のデメリットがあり得るため、注意が必要です。

短期解約には違約金が発生する

フリーレント付きの物件では、契約から一定期間の短期解約に対して違約金の支払いを定めているものが多くあります。違約金が発生する期間は物件によって異なりますが、契約から1年程度としているのが一般的です。

大家さんからしてみれば、一定期間の家賃収入を得ずに部屋を貸したにもかかわらず、早々に退去されては割に合いません。「入居時の負担を軽くする代わりに、長めに住んでね」というのが正直なところです。短期違約金が発生する期間内に転居する可能性が少しでもある場合は、フリーレント付きの物件は避ける方が無難でしょう。

空室期間が長かった物件の場合がある

通常の募集では入居者が決まらなかったために、テコ入れ策として用いられるのがフリーレント。中には、空室期間が長かった物件もあります。前の入居者がいつ頃退去したかを確認し、空室期間が長い場合には、以下の点に注意しましょう。

長期間に渡って人が住んでいなかった物件に生じるのが、建物や内装、設備の劣化。とくにエアコンや給排水設備は長期間使用されていないと、故障のリスクが高まります。これらが問題なく使用できるかについては、入居前までに確認が必要です。

立地や設備などの条件がよくない場合がある

そもそも入居者がすぐ決まるような物件であれば、フリーレントが付くことはありません。フリーレントが付く物件には、近隣にある同程度の広さや間取りの物件に比べて、立地や設備など何かしらの条件面で劣っている可能性が高いのです。内見時には居室内はもちろん、建物や共用設備、周辺環境について、よく確認するようにしましょう。

家賃が相場よりも高い場合がある

フリーレント付きの物件は入居者にとって一定のメリットがある一方で、「家賃が相場よりも高く設定されている」ものもあります。目先のお得さだけを重視して、長期的な負担を考えないのは危険です。「フリーレントなしの物件の方がトータルでお得だった」とならないように、相場は必ず確認するようにしましょう。

フリーレント以外で初期費用を安く済ませる方法とは

初期費用を安く抑えたいと思う一方で、必ずしもフリーレント付きの物件がなかったり、気に入るものが見つからなかったりする場合もあります。短期違約金や他のデメリットを心配して、あえてフリーレント付きのものを選ばない人もいるでしょう。そんなときは、以下の点を重視して物件選びをするのがオススメです。

敷金や礼金がかからない物件を選ぶ

敷金や礼金がかからない物件であれば、その分初期費用が安くなります。敷金や礼金は、それぞれ家賃の1ヶ月または2ヶ月分であることがほとんど。それらのどちらかがかからない物件や、両方がかからない「ゼロゼロ物件」はフリーレント付きの物件よりも数が多く、見つけやすいのもオススメポイントです。敷金や礼金がかからない物件は、不動産ポータルサイト上の検索条件で「礼金なし」「敷金なし」を選べば、簡単に見つけられます。

仲介手数料がお得な物件を選ぶ

仲介手数料がお得な物件を選ぶのも、選択肢の一つ。仲介の不動産会社に支払う仲介手数料は、家賃1ヶ月分+消費税であることが一般的です。しかし取り扱っている全ての居住用賃貸物件の手数料を一律で安くしている会社もあれば、一部の物件について仲介手数料の割引をしている会社もあります。不動産屋さんが自社物件を賃貸するケースや、入居者募集を強化するために大家さんが仲介手数料を負担するケースでは、仲介手数料が無料であることも珍しくありません。

保証会社の利用が求められない物件を選ぶ

賃貸物件を借りる際に求められるのが連帯保証人。近年では連帯保証人に代わるものとして、家賃保証会社の利用を入居条件にする物件も増えてきました。しかしその利用には一定の費用がかかるため、連帯保証人を確保できる人にとっては無駄なコストにもなりかねません。

一般的に、家賃保証会社の利用料は、家賃の0.5ヶ月分から1ヶ月分。さらに賃貸借契約の更新に合わせて、通常1万円前後の更新料も発生します。保証会社の利用が必須ではない物件であれば、これらの費用を節約することが可能です。

マンスリーマンションでは初期費用や家賃を抑えた入居も可能!

マンスリーマンションでは、敷金や礼金がかからず、仲介手数料もかからないケースがほとんど。一般的な賃貸物件に比べて初期費用の負担が小さいのが特徴であり、メリットです。お得なキャンペーンを行っていることも多いため、予想以上にリーズナブルな家賃で入居できる可能性もあります。

さらに家具や家電は備え付きであるため、それらの購入費用や引っ越し費用もかかりません。何かと支出が重なる時期だからこそ、マンスリーマンションを選ぶのは賢い選択とも言えるでしょう。

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