お役立ちコラム【暮らしのヒント】

手取りいくらから一人暮らしは可能?エリア別のシミュレーションで解説!

実家での生活も快適に感じるものの、「一人暮らしをしてみたい」と考えたことはありませんか。しかし一人暮らしに興味を持っていても、どれくらいの手取りがあれば問題なく暮らせるのかイメージがつかない方も多くいます。

そこで今回は、実際にどれくらいの手取りがあれば一人暮らしができるのかを詳しく解説します。初期費用や生活費、家賃相場などを把握したうえで一人暮らしに向けて、準備を始めましょう。初めての一人暮らしを後悔しないための方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

一人暮らしにあこがれる若者は多い?

10代や20代の若い世代で、一人暮らしへの憧れる様子は多々見受けられます。一人暮らしへの憧れを持つのには、さまざまな要因が考えられます。たとえば大学進学。地元を離れた大学に進学をするために初めて親元を離れて、一人暮らしを始める方はよくいるでしょう。

就職や卒業を機に一人暮らしを始めるケースも珍しくありません。自立してみたいと思ったり勤務地が遠方だったりなどの理由で、一人暮らしをスタートするのです。SNSで「一人暮らし始めました!」のような投稿も多く見られ、一人暮らしに対する憧れや関心の高さがうかがえます。

一人暮らしをするメリット

一人暮らしにはメリットがあるから、「一度はしてみたい」と考えるのでしょう。ここでは一人暮らしをするメリットを4つご紹介します。

金銭感覚が養われる

一人暮らしを始めると、今まで家族に任せきりだった食費や日用品の購入費などのすべての支出を自分で管理する必要があります。貯金のためにはどれくらい抑えた生活をしたほうが良いか、考えられるように。無駄な出費を抑えたお金の使い方を意識するため、金銭感覚が養われていくでしょう。

プライバシーが守られた暮らしができる

プライバシーの確保できるのも一人暮らしのメリットです。実家暮らしでは、自室以外は家族と共有スペースです。友人を家に招きたいと思っても、家族がいる気まずさを感じる人もいるでしょう。しかし一人暮らしなら誰に気兼ねすることなく、自分の部屋で自由に過ごせます。友人を招くのも気軽にできるのです。

自分のペースで過ごせる

自分のペースで起床したいときや夜遅くまで友人と電話をして楽しみたいとき。実家暮らしでは家族がいるので、生活リズムをある程度合わせる必要があります。自由に過ごせないことがストレスに感じる方もいるでしょう。

しかし一人暮らしでは好きな時間に起きて、好きな時間に食事をし、好きな時間に就寝できるのです。自分のペースで生活できるのは、一人暮らしの大きなメリットです。

家事能力がアップする

一人暮らしでは掃除や自炊など、すべての家事を自分で行う必要があります。最初は慣れない家事に、戸惑うかもしれません。毎日家事をこなすうちに料理のレパートリーが増えたり、部屋をきれいに保つコツを覚えたりと生活スキルが向上するでしょう。

実家暮らしでは家事能力を身につけようと思っても、家族がサポートしてくれるのでどうしても甘えが出てきてしまうもの。自分でやる必要がある場に身を置くからこそ、できるようになれるのです。

一人暮らしは手取りいくらから可能?

ここでは一人暮らしに必要な手取りについてご紹介します。一人暮らしする前にかかるお金もよくみてから判断しましょう。家賃の金額だけを見て「住める」と判断するのは危険です。

住み始めるまでに必要な初期費用

一人暮らしを始めるには、家賃だけ支払えれば良いというものではありません。契約時や引っ越しにも支払いが発生します。一般的な初期費用の金額は、家賃の6ヶ月程度。住むエリアにもよりますが、40~60万円ほどが必要と思われます。


出費項目 金額の目安
敷金 7~10万円
礼金 7~10万円
仲介手数料 7~10万円
前払い家賃 7~10万円
火災保険料 1万円
保証料 3~4万円
引っ越し費用 10万円前後
合計 40~60万円

家賃が高い物件を契約すればその分、初期費用も高額に。引っ越し費用は移動距離や荷物の量、利用時期によって大きく変動します。3月や4月は新年度に向けて引っ越す方が多いため、業者にとっては繁忙期です。繁忙期の引っ越しは高額になりやすいため、節約するなら閑散期を狙うことも検討しましょう。

無理なく暮らせる家賃割合

初期費用を何とか用意できても、その後生活できるかが問題です。物件を契約する前には、無理なく暮らせる家賃割合かどうかを確認しましょう。

かつては、手取りの3分の1以内の金額が家賃の目安と言われてきました。しかし令和になった現在は、手取りの2割程度に抑えるケースが多く見られます。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」によると、平均的な家賃支払いは約5.9万円でした。

年代別の平均年収とそこから算出できる月額の手取り目安を見てみましょう。国税庁が2024年9月に公表した「民間給与実態統計調査」によると、平均年収は以下の通りです。平均的な家賃が約6万円と考えると、手取りの3割という指標は若干高めであることが分かりますね。

平均年収 月額手取り目安 月額手取りの3割
20代前半 267万円 17.5万円 5.2万円
20代後半 394万円 25.8万円 7.7万円
30代前半 431万円 28万円 8.4万円
30代後半 466万円 30万円 9万円

(参照:民間給与実態統計調査)

平均家賃の6万円を手取りの2~3割に抑えるために、必要となる年収は300万円程度と逆算できます。なので無理なく一人暮らしを始められる基準は、年収300万程度(手取りで20万円前後)と考えられるでしょう。

家賃以外にかかる1ヶ月の生活費

生活費にはだいたいどれくらいかかるか、初めて一人暮らしをする方はイメージがしづらいかもしれませんね。総務省が公表した2023年の家計調査を見ると、生活費の把握がしやすいでしょう。家賃を除いた単身世帯の1ヶ月の支出の平均は、だいたい10万円ぐらいと言われています。内訳は以下のとおりです。


出費項目 金額
食費 46,391円
水道光熱費 13,045円
交通費・通信費 21,796円
娯楽費 19,425円
医療費 7,426円
被服費 5,955円

(参照:家計調査報告 〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要 表Ⅱ-1-2消費支出の費目別対前年実質増減率-2023 年-)

家計調査の結果は、あくまでも平均です。一人暮らしに必要な金額は、住むエリアや生活スタイルなどで異なります。ただし目安にはなるので、毎月の支出をシミュレーションしたうえで物件探しに役立てましょう。

家賃6万円で生活費が10万円前後であれば、手取り20万円で毎月4万円の貯金も可能です。人生には不測の事態もあり得るので、一人暮らしをするならこれくらいの余裕は持ちたい所です。

エリア別家賃相場

これまでは例として平均家賃の6万円を基準としましたが、家賃は住むエリアによって大きく異なります。

参考までに、エリア別に家賃相場を紹介します。大都会と地方都市では、相場が異なるのは当然です。無理なく暮らせるエリアを見つけましょう。

東京

東京で一人暮らしをする場合、山手線内の家賃相場はかなり高い傾向です。利便性の良い港区や渋谷区の物件は、特に家賃相場が高めに。新社会人が一人暮らしをするには、それなりの収入がないと難しいのが現状です。

しかし狭小物件など条件を選べば部屋自体はあるので、探す価値はあります。会社近くに住めると徒歩や自転車で通勤できるため、満員電車に揺られることもありません。

通勤に時間がかからないため、通勤時間を大幅に短縮。生活の質が大幅にあがるでしょう。また23区内でも足立区や江戸川区などの場所を選べば、お手頃価格の物件に出会える可能性が上がります。

家賃を抑えるため、郊外を選択肢に入れる方もいるかもしれません。しかし郊外に住む場合は、通勤時間が長くなる可能性もあるため注意してください。家賃と通勤時間のバランスを見て、ほどほどのところを選ぶようにしましょう。

【ワンルーム・1K・1DKの家賃相場】


エリア 家賃相場
港区・千代田区・渋谷区・中央区 14.15万円~
練馬区・足立区・江戸川区・葛飾区 7.41万円~
武蔵野市・国分寺市 7.38万円~
八王子市・清瀬市 6.10万円~

大阪・名古屋・福岡

東京に比べるとかなりお得感が出る大阪や名古屋、福岡などの大都市。主要な都市で一人暮らしをする場合、利便性の良い街中のエリアで物件を探しがちです。しかしオフィスや商業施設が充実した街なかエリアは、家賃相場が高めの傾向に。少し郊外にも目を向けてみましょう。

お得な物件が増え、選択肢が増えますよ。ただし通勤時間とのバランスも忘れてはいけません。乗り換えなしでアクセスできるほどよい距離の物件がオススメです。

【ワンルーム・1K・1DKの家賃相場】


エリア 家賃相場
大阪(中央区) 7.53万円~
名古屋(中区) 6.49万円~
福岡(博多区) 6.54万円~

地方の主要都市

「一人暮らしをしたい!でも家賃負担が気になる…」という方は、地方都市にある物件を視野に入れても良いでしょう。都会から少し離れたベッドタウンとして発展しているエリアは、大阪や名古屋などの中心地に住むよりはお得に住めるケースも多くあります。

【ワンルーム・1K・1DKの家賃相場】


エリア 家賃相場
四日市 4.89万円~
岐阜市 5.18万円~
神戸市 5.16万円~

ベッドタウンとして栄えているので、駅の周囲にはスーパーやコンビニなど生活に必要な施設が充実していることでしょう。コンパクトな移動で日々暮らしたい方にも、地方都市はオススメのエリアです。

初めての一人暮らしをする前に知っておきたい注意点

一人暮らしは実際にスタートしてから後悔することもよくあります。ここでは改めて、初めての一人暮らしをする前に知っておきたい注意点を3つご紹介します。

給与と手取りは別物

働きだすと耳にする「給与」と「手取り」。そもそも給与と手取りは別物だということを認識しましょう。

給与とは、会社から受け取るすべての収入のことを示しています。残業代や交通費なども含まれた金額です。一方で手取りとは、実際に受け取る金額のことです。給与から所得税や住民税、雇用保険料などが差し引かれています。その他にも社宅使用費や財形貯蓄などで天引きされるものもありますが、給与に0.75~0.85をかけた金額が、およその手取りの目安です。

新社会人の場合、給与から差し引かれるのは厚生年金と雇用保険料、所得税です。厚生年金と雇用保険料は入社翌月から、住民税は入社翌年から差し引かれます。新社会人の場合は住民税が発生していないなどの理由から、手取りは少し多めに受け取っているように感じるかもしれません。2年目からはさらに税金が増えるので注意しましょう。

孤独感

実家暮らしでは家族がいるため、常に誰かの気配を感じていました。人の気配があることは、プライバシーがないと感じる反面、安心感やにぎやかさが得られるものです。しかし一人暮らしになると、帰宅しても室内には誰もいません。

最初は自由に過ごせることで嬉しさいっぱいになるかもしれません。しかし時間が経つにつれ、孤独を感じる方もいるでしょう。孤独感と向き合い、乗り越える力が必要です。

貯金の難しさ

貯金の難しさも一人暮らしをするうえでの注意点です。一人暮らしでは、家賃のほかに生活費がかかります。お金を使いすぎてしまうこともあり、「あるとあるだけ使ってしまう」状況に陥りやすいのが一人暮らしの恐ろしいところです。外食をしすぎたり、そもそも収入に対する家賃割合が高すぎたりなどが考えられます。

まずは、物件選びの時点で無理なく暮らせる家賃なのかを考えましょう。そのうえで1ヶ月の生活費がどれくらいになるのかをしっかりシミュレーションし、使い過ぎに注意して過ごすように心がけてください。

初めての一人暮らしを後悔しないための方法

最後に、初めての一人暮らしで後悔しないための方法をご紹介します。いきなり一人暮らしを始めるのではなく、少しずつステップアップするのも1つの方法ですよ。

お試し住みでシミュレーション

初めての一人暮らしでは、抱える不安は大きいものです。いきなり賃貸物件を契約する前に、お試しで一人暮らしを体験してみませんか。一人暮らしをお試しからスタートすることで、実際の生活をイメージしやすくなります。

人によっては「なんとなく一人暮らしをしてみたい」と考えているケースもありますよね。本当に一人暮らしをしたいのか、どんなエリアが自分に合っているのかなど、さまざまなことを考えるためにもお試し住みは最善策でしょう。

方法1:マンスリーマンション

お試しで一人暮らしをするなら、マンスリーマンションを活用する方法があります。マンスリーマンションは家具や家電が備え付けられ、自分で準備する手間が不要です。敷金礼金がなく、初期費用を大幅に抑えられる点がマンスリーマンションのメリット。

契約期間は、お試しにピッタリな1ヶ月からできます。水道や電気などのライフラインの開通手続きも不要なので、手軽に一人暮らしを始められます。

しかし初期費用を抑えられるとはいえ、必要な費用は一括前払いが求められるケースは多いものです。高額な出費だと感じやすいですが、短期間だけ一人暮らしをしたい場合に検討してみると良いでしょう。

方法2:シェアハウス

複数人で1つの建物内で暮らすスタイルのシェアハウスも、お試し住みに向いている物件です。リビングやキッチン、バスルームなどを共有し、個室はプライベート空間として利用できます。

シェアハウスで暮らすメリットは、マンスリーマンションと同様に家具家電が備え付けられていることです。大がかりな引っ越し作業が不要なので、費用を抑えて新生活がスタートできます。また複数人で暮らしているため室内には人の気配があり、孤独感が軽減できます。入居者同士の交流で、楽しい生活が送れるでしょう。

東京23区内で一人暮らしを始めるのは、家賃の高さから諦める方もいるかもしれません。しかしシェアハウスなら、費用を大幅に軽減可能。23区内にも格安のシェアハウスがあるので、諦めずに探してみることが大切です。

お試し住みから始める一人暮らし!まずは感覚を掴もう

一人暮らしに興味を持っていても、どれくらいの手取りがあれば問題なく暮らせるのか不安で一歩踏み出せない方も多いことでしょう。家賃割合は、だいたい手取りの2割~3割程度に抑えるのが目安です。1ヶ月の生活費は約10万円が平均ですが、住む場所やライフスタイルで多少の変動は起こります。

自分が一人暮らしをしたらどのような生活になるのか、まずはお試し住みから始めて不安解消につなげるのも1つの方法です。マンスリーマンションやシェアハウスを活用して、手軽に一人暮らし体験をスタート。生活リズムや家事の負担、周囲の環境など、さまざまなポイントに気づくはずです。

具体的なイメージを掴むためのお試し期間を経てから、本格的な一人暮らしへ。まずは一歩踏み出すためにも、気になるエリアの物件を探してみましょう。

この記事を書いた人

澤田なつ/Webライター

2016年2月までCADオペレーターとして自動車部品の図面作成をしていました。2019年からフリーランスのWebライターとして活動しています。
執筆するときは「読者が知りたいことに寄り添える内容になっているか?」を意識しています。資格は、2級ファイナンシャル・プランニング技能士と簿記3級、図書館司書を持っています。
小学生の娘が2人います。趣味は裁縫で、娘たちが好きなアニメのコスプレ衣装を作ることが好きです。
着付け師範の資格を2012年に取得しており、講師経験もあります。最近では着付けの様子を動画で撮って、Instagramに投稿することにはまっています。

カテゴリーから探す